キャンプ!
さて、キャンプを始めて少し経つと、ナイフを欲しくなることはキャンパーの皆さんはよくわかると思います。
私もキャンプを始めて間も無くは100均のミニ包丁を使っておりましたが、色々なキャンプ道具を揃えていくうちに、ナイフにも拘りたいと思い始め、OPINELと肥後守にたどり着きました。
今回は、日本のOPINELこと肥後守と、フランスの肥後守ことOPINELを両方揃えてしまったので、その違いとどちらがオススメかを皆さんにお伝えしたいと思います。
なお、今回紹介するOPINELと肥後守は、いづれもフォールディングナイフ(折りたたみナイフ)です。
薪割りに使うバトニングには向きません。(特にOPINEL)
今回は、料理やフェザースティック作りなどの軽微な使い方において比較した記事です。
混乱する
まずはOPINEL。キャンプを始めたら一度は聞くOPINELですが、これが通称「フランスの肥後守」と呼ばれているらしいです。
ほうほう…で、肥後守とはなんぞやと思って調べてみると、どうやら肥後守は日本のOPINELと呼ばれてる模様。いやどっちやねん。
なお、日本ではOPINELがめちゃくちゃ人気で、かたや海外では肥後守が割と人気があるみたいです。HIGO KNIFEとして外人が作ったナイフも流通しているみたいです。
OPINELの特徴
OPINELのナイフは、1890年ごろよりジョセフ・オピネル氏がフランスのサヴォワの山中で作り始めたナイフ。かのピカソも愛用し、1985年には、ロンドンのヴィクトリア&アルバート美術館の「世界の美品100特選」に選ばれた名品中の名品。すごい歴史。

ナイフが欲しくなって色々調べてみると、OPINELにたどり着くという人はとても多いはず。割とみんな持ってる印象の超ド定番ナイフです。
OPINELは価格面でもとても優秀で、大きさと素材にもよりますが1,400円〜4,000円ほど。
というわけで、買ってみましたOPINEL↓。
最近ではいろんな種類も出ているのですが、一般的なOPINELナイフは柄の部分がブナの木でできており、ブレード部分はカーボンスチールorステンレス。
簡単に言うと、カーボンスチール(炭素鋼/CARBONE)は錆びやすいけど切れ味抜群。ステンレス(INOX)は錆びづらいけど切れ味はいまひとつ。(とはいえ抜群)
私は料理にゴリゴリ使おうと思ったので、とりあえず錆びにくいステンレスを購入してみました↓。
なお、大きさはNo.6〜10,12までの6種類。料理には大きめが良いと思い、No9を選んでいます。
特徴① 特徴的なロック機構
OPINELナイフはブレードを収納できる折りたたみナイフです。つまりブレード部分が動く機構。動くと言うことは、ブレード部分と柄の部分で自分の指を挟んで傷つける可能性があるということです。
OPINELナイフは、ブレードを出した後、金属のリングを回転させてロックする機構があります。これにより、誤ってブレードが収納されて指を傷つける事故を未然に防ぐことができる機構になっています。
特徴② とにかくカッコいい
これは理屈などではなく感じて欲しいんですが、とにかくカッコいいです↓。
見れば分かると思います。カッコいい。さすが世界の美品100特選に選ばれているだけあって、美術品として美しいのです。非の打ち所がないバランスだと思います。
所有するだけで良し。心が満たされます。
特徴③ 切れ味
切れ味は抜群です。Amazonなどを見ると、「届いたら最初に研がないと使い物にならない」などのレビューも散見されますが、個人的には料理で使ってみたところ、申し分ない切れ味でした。しっかり研いでみたらすごい切れ味になりそう。
肥後守の特徴
肥後守(ひごのかみ)は、日本の兵庫県三木市にある永尾かね駒製作所が作る、100年以上前から使われている日本のナイフ。

ひと昔前は、男子小学生はみんな肥後守ナイフを持って山に行き、木や竹を削っておもちゃを作って遊んでいたそうです。
なお、肥後守はOPINELに比べてみんなが持っているというほどではない印象。もっていると珍しがられるかも。
とても気になったのでこちらも購入してみました。なお、Amazonでは2022年1月現在、800円〜2,700円ほど。(種類により違いあり)
OPINEL同様とても手に取りやすい価格です。
届いてみたパッケージはこんな感じ↓。
日本的でとてもカッコいい。開けてみるとこんな感じ↓。
縦書きのロゴがめちゃくちゃ日本ぽい。渋い。カッコ良い。
「登録商標 肥後守定駒」の刻印が渋くてめちゃくちゃカッコいい。
全体的にやはり和です。美しい。
特徴① チキリ
肥後守には、OPINELに見られるようなロック機構はありません。
代わりに、「チキリ」と呼ばれる峰部分からカシメ後方に伸びた突起部分があります↓。
これを使って収納されているブレード部分を取り出します。
ナイフ使用中はチキリを押さえて使うことにより、ロック機構の代わりになります。
特徴② 青紙割込
肥後守にはいろんな種類がありますが、代表的なものが青紙割込です↓。
ブレードの根元に青紙割込と書かれています。割込とは、硬い鋼(ハガネ)を柔らかい軟鉄で挟み込んだ構造らしい。ちなみに青紙とは挟み込まれた鋼の炭素の含有率によって付けられた名前との事。
詳しいことまではわかりませんが、とにかく肥後守の中では青紙割込がメジャー中のメジャーみたいなので、こちらを購入した次第。
特徴③ 美しい刃文
青紙割込の肥後守を購入して1番最初に感動したのは、日本刀に通ずるような美しい刃文でした↓。
一時期より日本刀にどハマりし、神社などに行っては宝物殿に赴き、展示されている日本刀を食い入るように観察することもしばしばな最近。
日本刀を所有するのは1つの夢ではありますが、それなりの手続きが必要となりそうだったり、子どもが小さいと危ないのでさすがに買えません。いくら好きとはいえ、なかなかのハードルがあるのも事実。
そんな中で、手軽かつ安価に日本の刀剣の文化に触れられる工芸品として、肥後守は身近な存在でもあります。
特徴④ 切れ味
評判のナイフとあって、開封時の切れ味はしっかりしてました。Amazonなどのレビューを見ると個体差もありそうですが、私が購入した肥後守は切れ味抜群。OPINEL同様しっかり研いだらすごい切れ味になりそうです。
比較してみた
とりあえず現在持っているOPINELと肥後守を並べてみました↓。
上からOPINELのNo.9 ステンレス、No.7 カーボンスチール、肥後守の本割込 大、青紙割込 特大。
なお、OPINELのNo7.(カーボン)は1,455円、肥後守の本割込の大は865円(共に2022年1月現在)。どちらも手に入れやすいリーズナブルな価格。
ロゴの部分を比較してみると、↓のような感じ。
OPINEL、肥後守それぞれにフランスと日本の良さを感じますね。それにしても美しい画像だ…この画像だけで焼酎とワイン3杯ずつイケる。
ブレードの厚さはこんな感じ↓。左が肥後守で右がOPINEL。
肥後守の方が分厚め。しっかりしている印象。
切れ味部門 互角!
切れ味はぶっちゃけどちらも良かったと感じました。どちらも家での料理作りに使ってみましたが、変わらないくらいの切れ味。家の包丁よりもとっても良く切れました。
使いやすさ 肥後守の勝利!
いろんなブログを見てみると、OPINELの方が柄がそこそこ太くて握りやすく、調理に向いているという意見がありましたが、私の意見は真逆でした。肥後守の方が使いやすい。理由は下記3点です。
・柄に重みがある
・刃部がOPINELより長い
・水に気をつけなくて良い
理由その① 柄に重みがある
見比べてもらっても分かるように、OPINELの柄は木(ブナ材)、肥後守の柄は金属(真鍮)です。たしかにOPINELの方が握り自体はしやすいのですが肥後守の方がナイフの重みがあって包丁として扱いやすいと感じました。
日頃からペティナイフなどの軽いナイフを使い慣れている人はOPINELのほうが使いやすいと感じるかもしれません。
理由その② 刃部がOPINELより長い
まずは↓の画像を見てください。OPINELと肥後守、両方同じ刃の形をしているように見えますが↓、実は逆です。
ピンクでマークした部分が刃。
OPINELの方は刃の方が先に向けて大きく湾曲しているのに対し、肥後守は根本から先にむけて緩やかに湾曲しています。
これは実際使ってみると実感するのですが、OPINELの先の大きな湾曲は使いづらい。
OPINELで野菜などを切ろうとしてみると、先の湾曲部分がまな板まで到達しないため、たとえば束ねたニラなんかを切ろうとすると先のほうにいたニラは切り逃します。
それぞれのブレードのうち、実際に刃として機能するのは実質↓くらい。
青くマーカーした部分が実際に刃として有効な部分です。ブレードの長さはほぼ同じなのですが、有効の長さは肥後守のほうが長いのです。故に肥後守のほうが包丁としては使いやすいと思います。
理由その③ 水に気をつけなくてよい
ここで記述するまでもなく検索してみればわかることですが、OPINELはとにかく水に弱いです。柄のブレードが回転する部分に水が付くと、木が水を吸ってしまってブレードを取り出しにくくなります。
対して肥後守はブレードから柄までオール金属のため、汚れて全体をジャブジャブ洗っても大丈夫。(ただしサビ防止の為、使用後はしっかりと水分を拭き取り、乾燥させる必要はある。)
家庭でもキャンプでもこの部分はかなり重要で、肥後守は全体を洗える安心感から気兼ねなく使えるという点が大きく優れていると言えそうです。
ナイフの種類 数のOPINEL、奥深さの肥後守
オピネルは大きさと種類がかなり豊富。No,6〜10,12まで大きさもかなり細かく種類があり、それぞれカーボンスチールとステンレスが用意されています。特にNo.12なんかはほぼ包丁のような大きさです。
その他にも子ども用の先が丸まっているナイフ、フィレナイフ、柄を樹脂製にして水の弱点を克服したモデルなどかなり多彩。
OPINELは初心者や子どもなどへの門戸を広く構えている印象です。
対して肥後守のサイズは中、大、特大の3種類と少ない。(ラインナップによっては特大は無いことも。)
ブレードの種類は青紙割込、白紙割込、SK割込、全鋼、VG10(ステンレス)割込など多彩。さらには桐箱入りの特選多層鋼 青紙割込(Amazonでは13,000円越え!)など。刃にかなりのこだわりを感じます。
肥後守は刃文の美しさや刃へのこだわりなど、日本人の奥底の琴線に触れる魅力があると思います。(代わりにOPINELほどの門戸の広さは感じません。)
カスタマイズ製 OPINELの勝利!
肥後守は、それぞれ種類は違えどオール金属なので、購入時点で工芸品として完成しています。できることと言えば刃を研ぐくらい。
OPINELも購入時点で工芸品として完成してはいます。
ですが、カスタムしてくれるお店があったり、カスタムのやり方を解説したブログが溢れるほど見つけられる(カスタムの賛否は別として。)ということは、OPINELは人々をカスタマイズへと駆り立てる魅力があるとも言えそうです。
そういう意味では、自分の手を加えて使いやすく加工できるOPINELは、カスタムに失敗しても成功しても愛着が湧きやすいナイフだと思います。
キャンプ用のナイフとしてどちらを買うべきか
結論として、どちらを買うべきか。下記のようにまとめてみます。
・皆が持っているキャンプのスタンダードなナイフが欲しい人
・和よりも洋が好きな人
・大きさを細かく選んで買いたい人
・ナイフのカスタマイズを楽しみたい人
・キャンプ場で他の人のナイフと被りたくない人
・包丁としての使い心地を重視したい人
・刀剣などに興味があり、綺麗な刀身を眺めたい人
・柄も含めてジャブジャブ洗って使いたい人
私は使い勝手で言えば肥後守の方が好きですが、OPINELも使い続けると思います。正解はありませんし、両方とも2,000円〜3,000円ほどで買えるので、気になるなら私と同様両方買っちゃってください。
こんな結論で申し訳ないですが、他のキャンプギアに比べたらリーズナブルに手に入るものですし、それでいて奥深く、かつ愛着が湧きます。どちらのナイフもしっかりと手入れすれば子どもの代へと引き継げるような素晴らしいものです。
迷った際は是非両方とも手に入れてみて、その違いを感じてみてはいかがでしょうか。併せて購入しても5,000円くらいですし…。
それではまた〜。
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コメント
とても参考になりました。
私は、キャンプの時にヴィクトリノックスを
愛用してたのですが、料理には使いずらいので、
悩んでいました。
肥後守を購入して試してみます。
ありがとうございました。
コメントありがとうございます!肥後守可愛がってあげてください!
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